発達相談でのやりとり。(後編)〜1歳11ヵ月4週目〜
このブログは、だいたい1〜2週に1回更新しています。
子どもの様子や遊びを紹介しつつ、この年齢ではどんな成長をするのかとか、どんな遊びをすれば子どもの成長にいいのかなどを、何かの参考になればと思って書いてます。
今回は発達的にゆっくりかもと思う方に向けて書いてみました。
やりとりは完全に架空のケースですが、こんなやりとり多かったなーってことを書いてみました。
よければどうぞ。
目次
発達検査の一場面。(検査結果のお伝え)
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言葉がママ・パパ以外、あんまり出てないお子さん→仮に‘’ハラピ‘’とします:「 」
お子さんの母親:『 』
発達相談員(ワタシ):< >
※上のカッコで実際のやりとりを再現します。
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…前編からの続き。
<ありがと~。じゃあ、先生ちょっとママとお話するから、こっちの積み木かお絵かきして待っててくれるかな~。>
『ちょっと遊んで待ってて。』
<ありがとうございます。
お母さんは、言葉がなかなか出えへんなーってことで、今回来てねーって言われたんですよね?>
『はい。』
<実際、そう思いますか?>
『そうですね~。1歳半健診のときは、周りの子がママとかパパとか、なんか言葉らしいこと言ってるので、うちの子はあんまり喋らへんなーとは思ってました。』
<結構、子どもたちによってマチマチですしね。>
『そうなんです。まぁ、困ってないし、そのうち言葉出てくるかなーって思ってたら、思ったより言葉が増えなくて。』
<そうですか。でも、最近ママとパパを言うようになったんですよね?>
『はい。』
<”マママママ”とかじゃなくて、”ママ”って感じですか?>
『はい。』
<そうですか。ちゃんと、”ママ”と”パパ”も使い分けれてますか?>
『はい、そこは間違えてないと思います。ちゃんと私のほうを見て”ママ”って言うし。”パパ”も返ってくるのが遅いけど、そこは合ってます。私も仕事で遅いときがあるので、そうなればパパと遊んでたりします。』
<おぉ、合ってるならいいですねー。じゃあ、基本的には、お母さんが仕事終わりに保育園に迎えに行ってって感じですか?>
『保育園は入ってなくて、近所に私のおばあちゃんがいるので、だいたい預かってもらってます。』
<そうなんですね。>
『結構可愛がってもらってるみたいなんですけど、言葉出てないから保育園とか入れたほうがいいんかなーとも思います。』
<あ~、なるほど。…ワタシね、今日様子を見せてもらってね、発達の遅れがどうというより、ハラピくんの理解するまでに、ちょっと回数多めに見本を見せないと理解しきれないところはね、ちょっと意識して関わったげたらいいとこかなとは思うんです。>
『はい。』
<この2歳前後の頃って、発達が遅れててもワタシ個人的には様子を見ていったらいいと思うんです。1歳半健診で言葉が遅れてても、2歳頃にかけて徐々に言葉が出てくる子って少なくないし、長い人生、それくらいはいいと思います。支援者によりますけどね。
実際、2歳で2語文出てなくて単語の語彙数が多い状態で、2歳6ヵ月健診に来られる方もいてますしね。>
『そんな人はどうなるんですか?』
<ちょっと話して、2語文につながるような関わりを意識してもらって様子見たり、希望があれば親子教室的なところを紹介します。ただ、その時点で人に興味がないとか、やりとりにならないっていう状態やと、できるだけ早く他人にも関わってほしいので、どこかしら他人がお子さんに関わるところを紹介してると思います。>
『ふ〜ん。…この時期やったら、どれくらいで言葉が出てたらいいですか?』
<えっとね、今、2歳前ですよね。
単語でね、ママとかブーブーとか、さっき言ってくれたコップを”ゴッゴッ”みたいなやつはね、2歳6ヵ月頃までにはできるだけたくさん増えててほしいです。できれば、ご両親だけじゃなくて、周りの人もわかる言葉で。今で言えば、2歳2ヶ月頃には、他人でもわかるくらいの単語が増えて、なんとなく行動じゃなくて言葉で言いたいことがわかるくらいになってほしいなーとは思います。
2歳6ヵ月で、単語も数えられるしか喋らないってことやとしたら、そのときは親子教室的なところで、いろんな人と関わったり遊んだりして、意識的に言葉を聞いて、やりとりする環境にしたほうがいいと思います。>
「う~ん…。」
<そうなるか心配ですか?>
「はい、結構。笑。」
<子どもって、ある日目覚めたかのように急に成長するときがあるから、ワタシもなんとも言えないところなんですが。
今のところ、ハラピくんはわかるまでに時間がかかるから、少し大人の関わり自体が早くならないように間を取ることは意識してみてください。誰でも忙しくなると矢継ぎ早に喋るし、相手がゆっくりであればイライラすると思うんです。だから、喋ってから2~3秒は待って、リアクションを待ちましょう。それで、イライラしてるときは、矢継ぎ早に喋ってしまいましょう。笑。>
「どうしても仕事してて、早く寝かさないといけないと思うと、早く早く!ってなるんですよね~。」
<遅くなる日が続くと、子どもが体崩すしね。なのに、仕事帰るの遅い…みたいな。>
「めっちゃしんどい。笑。」
<笑。それで子どもと親の関わりがなくなるより、10分さらに寝るの遅れてはいるけど、何かしら頼み事してできてホメるほうが、子どもの気持ちとか発達的にはいいかもしれませんね。次は大人の気持ちはしんどいですけど。笑。>
「寝るの遅くなるからね。笑。」
<そうです。笑。>
「おばあちゃんに見てもらいすぎるのも悪いし、見てもらわなさすぎるのもしんどいし。笑。」
<笑。…あ、ほんでね、今のご両親が共働きで、おばあちゃんに見てもらってる環境は、ハラピくんの発達とか成長にとって悪いわけじゃないと思いますよ。ただ、親御さんが1人で見てたり、おばあちゃん1人で見てたりしたら、関わりってかなり意識しないと、いつもと同じやりとりになっちゃうんですよね。
それって、大人が気づいてなんか違う遊びを探して、いつもと違う公園に連れて行ってくれたりするんですけど、それにも限界があるんやと思うんです。
だから、親子教室的な、他の子とか大人と関わって、違う環境を生き抜いて、そこでいろんなやり取りとか、普段使わない言葉を学んでもらって、大人が子どもの言いたいことを汲み取りすぎない環境が必要になるんやと思います。>
『ん〜確かに。』
<でも、仕事してるし、たぶん親子教室とかって言われてもきついですよね。>
『そうですね〜。私もあんまり知らないところとか、知らない人と喋るとか、どうしたらいいかわからないし。』
<じゃー、親子教室的なところは、お母さんには向きませんね。笑。>
『たぶん、途中でやめたくなります。笑。』
<人間、辛いことから目を背けたくなりますからね。笑。じゃー、他の策考えましょっか。…でもね、ハラピくんにとって、本当に親子教室的なところが必要なら、ワタシはすでに勧めてると思います。
課題でやった“電車どこかな?”って言ってた課題あったでしょ。あそこでリアクション的には答えようとしてくれてたので、今後もゆっくりでも言葉を吸収するキッカケはできそうやなーって思います。
たぶん、あそこでまったくできずで、全然違う遊びをしたり、ワタシの存在がないような感じやったら、親子教室的なところを紹介してたと思います。>
『ふ〜ん。』
<ちなみに、保育園とかは考えたことあるんですか?>
『あ〜…ありますね〜。』
<なんて意味深な“あ〜”なんですか。笑。>
『笑。あの〜、今おばあちゃんに見てもらってるって言ったと思うんですけど、旦那さんのお母さんで、最初に保育園入れるなら見ようか?って言われたんです。うち、共働きやし、遅くなったときに晩御飯食べさせてもらうと助かるし。』
<じゃー、その生活で続けてて保育園入れるって言ったら、“もう面倒見てもらわんでいいです”って、言ってるみたいなもんですもんね〜。>
『そうですよね。おばあちゃんに言ったら、たぶんいいよいいよって言ってくれるやろうし、別にそれでトゲがある方じゃないので、そのへんは気を遣わなくてもいいんですけど、気を遣うんです。』
<お母さんが保育園を少し考えてるなら、お父さんから伝えてもらうとかできるんですか?>
『それは大丈夫です。たぶんうまいこと言ってくれるし、そこはいいんです。』
<じゃー、だいぶ相談してからって感じですね。>
『ちょっと相談してみよっかな〜…。』
<あの〜、ひっくり返すようなこと言うんですけど、ハラピくんがね、このまま成長しそうな見込みが存分に出てたら、もう3ヶ月ほど家で様子見ますか?ってワタシも悩みながら言うと思います。でも、気になってる点としては、もし思ったより言葉が出なかったときに、次お会いするの2歳3ヶ月くらいになりますけど、そのときに今とあんまり変わらずに言葉とか理解力が成長しきってないときのダメージが大きいって不安がワタシにはあります。
だから、お母さんが保育園を考えてるなら、すぐは無理かもしれませんけど、通う頻度も高いし、今の、理解までには経験が多めに必要なハラピくんにとっては、オススメできると思います。>
『それまで、一時預かりとか行ったほうがいいですか?』
<あ〜、どうかな。一時預かりが頻度高く行くと金額も高くなるしね。無理にとは言いませんけど、行くのはハラピくんにとって経験になると思います。欲を言えば、週1回より、週2,3回。集団に慣れるという意味でね。今回の検査でもまだ平均に入るんですけど、数値だけ見ても、苦手さって見えないし。苦手さを意識すると、できれば週2回とかかな。>
『家で何かできることってありますか?』
<ハラピくんの場合やと、さっきお伝えしたみたいに、理解して動くまで、何回か見てやってみないと理解にまでならないと思うんです。
なので、だから、間を取る以外にも、できればご両親の間で、お互いにおつかいを頼むとか。“お父さんにそこのコップ渡してきてー”とかね。それをイライラモードで早く言っちゃうと理解しきれないかもしれないから、落ち着いたときに、ハラピくんを呼ぶ→目が合う→“お父さんにね、このコップ(コップを指差して)、持って行ってあげて”って伝えて、できたらお父さんに“ありがとー!”ってちゃんと反応してもらうとかですかね。
まとめると、引きつけてからゆっくり伝える。それで、できたときはちゃんと反応するってことです。>
『あ〜〜〜。』
<すでにプレッシャーになってるじゃないですか。笑。>
『笑。』
<できるときで十分です。がんばっても、結局子どもに大人の圧が伝わるだけですから。>
『旦那さん連れてこればよかった。笑。』
<今日、いっぱい喋ってますからね。笑。でもまぁ、まずはこのままでいくか集団を考えるかですかね。>
『いや、保育園はちょっと旦那さんと相談してみます。』
<了解です。またお住まいの地区担当の保健師さんもいるし、また相談しつつでいきましょう。>
『はい。次は旦那さん連れてきます。笑。』
<もしくは、ボイスレコーダーですね。笑。じゃあ、今日のところはおしまいにしといて大丈夫ですか?>
『はい。ハラピ、先生にありがとーは?』
「(手を振ってくれるハラピ)」
<うわー、すごいやーん。じゃあね〜。>
『いっつも帰り際です。』
<ほんと、お母さんが言ってた通りですね。まぁ、慣れてきて、この場がわかってくるんでしょうね。>
『慣れるといいんですけど、次のときには忘れてるんですよね。』
<笑。頭の中で記憶したことが、早く見たことと聞いたことにつながることを願うばかりですね。>
『ほんとに。ありがとうございました。』
<はい、どうも、失礼します。ハラピくん、ばいばーい。>
「(手を振ってくれるハラピ)」
子どもの発達=親の関わりだけではなく、いろんな環境が影響してる。これが、新常識だと思う。
発達検査の結果の話、みなさんはどんなイメージでしたか?
支援者によっては、数値とか平均とかちょっと遅れてるとか、そういうことだけを言う人や枠組みってありますが、多くは上に書いたようなパターンになるんじゃないかと思います。
何が得意で何が苦手か…的な話+どんな関わりをしたらいいかっていう内容になるだろうって意味です。
その後の子どもの発達の見通しを伝えるのは、たぶん人によって違います。
そこがどうなるかって、いくら支援者でもわからないです。
ただ、何人も見せてもらってその後の様子を見せてもらう経験が増えてくると、予測はできなくはないと思います。
例えば、今回のハラピくんのパターンなら、ある程度は人への興味が見られます。出てる言葉は少ないのは事実ですが、ただハラピくんなりに何かを言おうとはしています。
そういう意味で、ワタシはこのパターンであれば、今後を予測したら意識して関わると言葉が出てくるんじゃないかと予測したわけです。ただ、それも100%当たるわけではないので、ワタシ的にはアンパイをオススメするようにしています。
健診などで「親がもっと関わってあげてね」と言われることもあるようですが、子どもの発達の仕方や個性によっては…
関わる量=言葉の数になるとき
関わる質=言葉の数になるとき
量と質の両方=言葉の数になるとき
…など、ほんとに人それぞれです。
1歳6ヵ月健診では、そのへんの関わりの量や質、家族構成とか両親やおじいちゃん・おばあちゃんの存在、親との関わりがほとんどな子や子育て広場的なところによく行く子など、
そのへんの環境が子どもの発達・成長傾向とマッチするかということが、言葉の数や応答性として表れるわけです。
なので、1歳6ヵ月健診で言葉が少ないと言われた場合、何でそういう状況が表れているのかを見立てて、今後その子に合わせて環境と発達・成長傾向がマッチさせるために、発達検査を受けるというイメージです。
とは言えど、次は大人的にも発達相談員との相性もあるので、みなさんの周りに環境と子どもの発達・成長傾向と何がマッチしていないのかを観察して指摘してくれる人を探せばokだと思います。
…ん~~~~~~いますかね?
もしやっぱりいないと思う場合、不安かもしれませんが、上に書いたような内容で発達相談が進むことが多いので、よければ受けてみてください。地域の保健センターなど、だいたい健診の主催元でやってます。
え~………唐突に話を切りますが、こんな感じです。
1歳6ヵ月で指摘を受けなくても、ちょっと心配やなーって子は少なくないです。
みなさんが心配なら、一度子どもの傾向として相談してもいいかもしれません。
個人的な話ですが、10ヶ月健診くらいのときに、はらぴーは割と人をじ~~~っと見て反応する子でした。いろんなおもちゃで遊んでもあんまり笑わず、ニコッとするくらいでした。
そのじ~~~っと見る傾向は、2歳6ヵ月くらいまでずっとあったし、3歳近い今でもじ~~~っと見る慎重派であり、見通しがないと不安になるタイプなんだと思います。
10ヶ月健診のときに、周りの子がキャッキャ笑ってる姿を見て、周りの子すごいなーとも思ってました。
そんなときに健診で、遠回しに「もっといろいろ関わってあげて」的なことを言われて、両親でカチンときたことを覚えてます。
健診はその一時期しか見れません。他の様子もあると見る人もいるし、そのときをその子のすべてとして見る人もいます。
結局相性やタイミングな気がするので、みなさんが合うと思う人を選んで話を聞いていけばいいと思います。
心配なことがある場合、身近な人で相談できる人に相談してみてください。
よければどうぞ。
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合同会社うちもだんLabo.(うちもだ)
TEL:050-5491-4447
e-mail:uchimodern@gmail.com
うちは、奈良市の大和西大寺駅近くと、交野市の交野市駅近くで、遊びと勉強をしながら子どものイイところとニガテなところを伸ばそうという教室をやっています。
相手の気持ちを汲むこととか伝え方とか。他にも、そのタイミングなども意識しながら遊んでいます。勉強では、実際に勉強や宿題をしながら、どうしたら上手に字を書けるかとか、文章を上手に読めるかという勉強の仕方を見ています。たまに保護者の方に伝えて、普段の宿題のときに気にかけてもらったりもしています。
シンプルに、0歳~小学生くらいのお子さんの相談もやっています。
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