周りには「かしこい子」って言われますけど、うちの子、敏感ですっごい育てにくいんです。~2歳8ヵ月の子の相談~
このブログは、月1回程度更新しているブログです。
相談形式で書いているので、よければ見てみてください。内容は実際に合ったケースを変えたり組み合わせたりして改変していますが、相談としては全然ある内容を選んでます。
相談に行ったら、こんな感じになるかも…と思って見てもらってもいいんじゃないかと思います。
今後、子どもの発達に関する話を、夜の22:00頃から楽な感じで定期的にオンライン配信しようかと思っているので、そちらはよければホームページトップの予約サイトからご覧ください。
目次
- ○ 「すぐ泣くし、なんか普段からビクビクしてるっていうか…なんか敏感なんです…」
- ・テンションが上がって無邪気な笑顔や遊びが出るのは年齢相応。ただ、慣れるまでの時間が長め。理解力がいいため他のことを考慮しておく必要がある。
- ・子どもの育てにくさの1つに、子どもの感覚過敏がある。安心した家だと嫌な感覚はより過敏に察知しちゃう。
- ・じゃあ、どうしてあげたらいいの?過敏さってすぐにはなくならないでしょ?!
- ・だらだらと長くなりましたが、知っておいて損はないことまとめ。
「すぐ泣くし、なんか普段からビクビクしてるっていうか…なんか敏感なんです…」
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「 」:子ども(Kちゃん)
〈 〉:わたし(相談員)
『 』:保護者(多くが母親)
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▼ 保護者の方のお話 ▼
タイトルの内容で来られる。
話を伺うと、昔からよく泣くということ。最初は子どもってそんなもんだと思っていたけど、年齢が上がっても全然変わらない。むしろ、なんでそのタイミングで…とか、なんでそんなことで…というタイミングで泣くことも増えてる気がする。
泣いてるので抱っこしたり、あやしたりするけど、その頻度もどんどん増えてきてるから大人がしんどくなってくる。
でも、そんな姿は家で出すだけで、祖父母の家、友達の家に行ってもいい子そのものって感じ。
家族以外の人にはかしこい姿でいる。緊張してるし、子どもなりにがんばってるんだと思うし、家ではせめて休めるようにしてあげないとって思うんだけど、さすがに外で溜めて家で崩れることが多い…。
Kに何かしんどいところがあるならなんとかしてあげたい。でも、理解力はあるし、発達が遅れてるとか、そういうのではないんだと思ってるけど、念のため見てもらうために来たんです…とのこと。
▼ Kちゃんの様子 ▼
初めて会ったときはわたしに警戒。「こんにちは」と挨拶すれば、保護者の方に促されてではあるが「こんにちは」と言えるし、その瞬間の緊張は過度なものではない。
わたしと絵を描いたり、おもちゃで遊んでいると緊張が解けてくるが、保護者の方から一定の距離から離れようとしないし、ずーっと微妙な緊張具合が続く。
でもたまに、無邪気な笑顔やテンションが上がって大きな声を出したり、おもちゃで激しく遊ぶ様子もある。
会って喋って帰るまで、約45分のうち、慣れてきたのは35分くらいのタイミング。
遊んでいる間は、基本的に違和感はなく、確かに理解面での遅れ等は感じられないが、ずり上がった服をよく直していたり、アルコール消毒はすぐに服で拭こうという様子が見られる。
「外に行くとうろちょろしたり、そのへんの物を触りまくったりするんです。」〜2歳7ヶ月の子の相談〜
テンションが上がって無邪気な笑顔や遊びが出るのは年齢相応。ただ、慣れるまでの時間が長め。理解力がいいため他のことを考慮しておく必要がある。
保護者の方の話を聞く限り、外ではいい子で、家ではぐずぐずで気分が崩れやすいのって、この年齢を考えると普通です。
子どもはなんだかんだで、外ではいつもと違った雰囲気で緊張しているし、人も見ているので、周りの大人に「○○ちゃん(くん)、かしこいよねー」って言われるのって、そう不思議なことじゃありません。
ただ、Kちゃんの場合は理解力がよくて、人もよく見て言動を伺う様子もあるのに慣れるのが遅い…。
慢性的にずっと、ちょっとしんどい感じを感じ続けているのかもしれない。もちろん、子どもにはそのへんは意識されないので、後で溜まったものが家で出ちゃうんじゃないかと思います。
ここで意識してほしいことって、理解力◎=慣れるのが早いっていうわけじゃないことを知っておいてほしいです。
じゃあ、なぜ場に慣れるのが遅いのか………何が育てにくさに繋がるのか………
Kちゃんの場合は、”過敏さ(敏感さ)”が強いってところが大きいんじゃないかと思います。
そして、この過敏さ。くすぐられるとこしょばがる,服のタグがチクチクするなど、みんないろんな過敏さがあるんだけど、この時期の子どもに過敏さがあると育てにくさに繋がるってことが多いです。
子どもたちは普通に生活していても、なんだか気持ちがザワザワ・ドキドキすることが多いので、他の子より勝手にしんどくなる回数が増える傾向にあるってことです。Kちゃんで言う、35分間ずっと”目の前のことで遊んでるけど、なんかしんどいなー”みたいな感じです。
大人で簡単に言えば、最近よく聞くHSP(Highly Sensitive Person)とかです。
他の大人の例で言えば…
●わたしたちがよく知らない場に行って、周りの人は仕事で忙しそうにしてて、自分も何かを手伝ったほうがいいような空気が出てるけど、何をしたらいいかわからず座ってることしかできなかったら…
●大人が人の集まりに参加したときに、周りの人たちだけがなんか親しい感じで喋っていたときのアウェイ感があったら…
●わたしたちが子どもの頃、自分が何かダメなことをしたときに、大人同士が向こうでコソコソ喋っているときがあったら…
…こんなときみたいなザワザワ・ドキドキ感を、Kちゃんは日々の生活の中で頻繁に感じていて、それが体に勝手に溜まっていったら…っていうふうに思うわけです。確定じゃないですけどね。
そうなると、大人は疲れやすいし、Kちゃんも泣きやすくなっても不思議なことじゃないと思うんです。
子どもの育てにくさの1つに、子どもの感覚過敏がある。安心した家だと嫌な感覚はより過敏に察知しちゃう。
感覚過敏って、”その人がその感覚を勝手に強く感じてしまう”っていうところが難しい点です。
なので、根性論ではどうしようもなく、苦手なことや機会は減らすことが必要です。
しかも、2歳8ヵ月くらいの子だと、その嫌な感じを十分言葉にできないので、よりストレスになってるみたいに見えます。
それでね。このへんは支援者によって変わりますが、過敏なものはずっとなくす!っていう人もいます。
ただ、わたし個人的にはすべてなくしちゃうと「思ったより大丈夫やった♪」みたいな、子どもが過敏さを捉え直す機会がなくなってしまうので、基本はなくすけど、2~3ヵ月おきくらいに再チャレンジすることって、あってもいいと思います。
(聴覚や皮膚感覚は、そんなにすぐに変化しないので、3ヵ月おきとかでいいと思いますが、味覚・食感など思い込みが入る部分は1~2ヶ月おきくらいに再チャレンジするのはありです。)
じゃあ、どうしてあげたらいいの?過敏さってすぐにはなくならないでしょ?!
過敏さは脳の成熟で、少しずつ強く感じないように落ち着いていく感じで変化していきます。持って生まれたものを特に感じやすい低年齢のときから、中学生以降になるに連れて過敏に感じなくなってくることもあります。
ここは、ごめんなさい。完全に人によるので、いつ頃から楽になるかっていうのはなんとも言いようがないです。
なので必要なのは脳の成熟。脳の成熟は大人にはどうしようもないですが、これをなんとかしようと思うと、大人は子どもをしっかり遊ばせることは、ぜひやっておいてほしいです。
一見、過敏さの緩和と遊ぶことって繋がりませんが、体を動かしたり遊ぶ中で考えたりすると、それだけで脳を使って成熟に繋がるので、やっておいて損はないです。過敏な子で活発に遊ぼうとしない子ってまぁまぁいるので。
あと、脳の成熟とは関係ないですが、子どもが苦手で嫌がってるときって、<ちょっと押したらいけるんじゃない?>みたいな雰囲気も出るし、実際いけたりします。ただ、次回以降のチャレンジ精神の低下とか、結局そのときはうまくいっても次に生きないので、意地にならず早めに引いて次のチャンスにかけ続けることもオススメかなって思います。
わかってるはずのことが、違う場所ではできない時期。〜2歳6ヶ月〜
だらだらと長くなりましたが、知っておいて損はないことまとめ。
みなさんが子どもを見たときに、下記のどの過敏さが近いかを概ね見当をつけておくと、いざというときに苦手なことを子どもに無理強いしなくて済むのでオススメです。
ちなみに、わたしは保護者の方に下みたいな質問をします。
●抱っこは嫌がり(怖がり)ませんでしたか?(前庭覚の過敏)
●ピタピタよくくっついてきますか?(固有受容覚の過敏)
●触られるの嫌がりますか?(触覚の過敏)
●特定の食べ物は嫌がる、または出しますか?(味覚・食感の過敏)
●特定の臭いを嫌がりますか?(嗅覚の過敏)
●まぶしがりますか?(視覚の過敏)
●耳塞ぎありますか?(聴覚の過敏)
●なんか常に不安そうに目キョロキョロしてますか?(内臓感覚の過敏)
状況と出方によって見方は変わりますが、だいたいこのへんの感覚の過敏さを知って疑っておくといいと思います。
ただ、内臓感覚はドキドキ感みたいなところが過敏なので避けようがないです。
でも、子どもが理解と見通しを持つことで安心になってストレス度が下がることはあるので、1つずつ予告をするように意識することは、ぜひやってもらうといいです。
ちなみに、このケースの場合だと、たくさん喋った風に書きましたが、まとめると…
<生活を全て見たわけじゃないけど、育てにくさはおそらく感覚過敏からくるもの。消毒とか服の感じを見てると触覚過敏と、慣れるまでの時間を見てるとドキドキ感の過敏さもあるかなと思う。
35分かかったけど慣れることはできる。時間を少しでも短くするために、新しい環境へ行くことより、いつも行く公園とか、慣れた人や場所に行く回数を増やして、何度も行くことで慣れる場を増やして、慣れる時間を短くしていく…という感じで生活を送ると、
この子なりの見通しやドキドキ感が少しマシになることで、家で泣く回数とか減らして、少し落ち着いた時間を増やせるんじゃないかなーって思います。
ただ、慣れた公園とか遊ぶことなくなりますし、家族の仕事とかで家の雰囲気がバタバタすると、その影響をモロに感じるので、大人が『しんど…』ってなることはあると思いますけどね。>
…ってお伝えすると思います。
結局、ブログがまとまらなくなりましたが。。。
過敏さからくる育てにくさの場合、大人が誰かの手伝いとか支えを受けながら、どっかで耐えながらやっていかないとしょうがないってことになります。
ただ、そのときに親子で意地になっちゃうことがあるので、適度に子どもの苦手な感覚を知って、適度に再チャレンジをし続けて、普段はしっかり遊ばせておくことが大事ってことです。